妊娠中(妊婦)の貧血について記載しています。妊娠中の鉄分不足が胎児に与える影響とその対策・原因はもちろん、必要な鉄分量や改善・予防方法も記載しています。鉄剤を飲むと気持ち悪くなる方の対策も記載していますので、ぜひご覧ください。
妊娠中の貧血が胎児に与える影響
子どもが貧血になるリスクがある
妊娠中に貧血が発生していると、子どもが貧血になるリスクが高まります。胎児には他の栄養素と同様に、母体から鉄を子どもに送ります。送り出す鉄が不足している状態では、子どもに十分な鉄を送ることができない影響で、鉄欠乏性貧血になるリスクが生まれます。 また、鉄欠乏状態のお母さんから母乳をもらって育った子どもも、鉄欠乏になりやすいです。
結果的に発達や認知機能、精神活動に影響する
鉄欠乏性貧血の子どもへの影響として、発達や発育、注意力低下、学習や運動の障害に繋がる可能性があります。また感情を制御できず、イライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりします。
特に貧血の自覚のあるお母さんは、最大限の鉄不足ケアを、医師との相談の上でおこなってください。
妊娠中に貧血になる原因

血液量は増加するのに、赤血球の増加量は大きくないから
妊娠すると徐々に血液量が増加し、妊娠中期をピークに非妊娠時の40~45%まで増加すると言われています。それに対して赤血球なども約30%増加しますが、通常より赤血球の濃度が下がり(血が薄まり)、結果的に貧血の症状が出やすくなります。
妊娠が進むと鉄分の必要量が増大してくるから
妊婦が陥る貧血の大部分は、お腹の赤ちゃんが育つにつれ鉄需要が増大することが理由となる、鉄欠乏性貧血だと言われています。鉄欠乏性貧血は女性がなりやすい一般的な貧血で、体内の鉄が不足して起こる貧血です。つまり、妊娠中には特に意識して鉄分を摂ることが重要となります。
参考:加藤陽子. Ⅱ.鉄欠乏 2. 小児と思春期の鉄欠乏性貧血. 日本内科学会雑誌第99巻第6号. 2010.33-34妊娠中、妊婦が1日に必要な鉄分の摂取量(mg/日)
妊娠中に妊婦さんが必要になる鉄分の量は、妊娠時期によって大きく変化します。妊娠中期~後期にかけて必要量が大きく増加しますので、お気をつけください。
妊娠初期(付加量) | 妊娠中~後期 | 授乳婦(付加量) | |
---|---|---|---|
15-17歳 | 9.5 | 16.5 | 9.5 |
18-64歳 | 9.0 | 16.0 | 9.0 |
妊娠中の貧血への対策・予防方法

必ず医師の指導に従うことが大切
妊娠中のデリケートな時期に、改善のために独断で対策をすることはおすすめできません。医師に相談の上で指導に従い、鉄分不足なのかどうかを判断し、その上で適切な対処をしてください。
普段の食事やサプリで予防はできる
妊娠中に鉄分不足に陥らないようにするためには、体内にたっぷり鉄を蓄えることが大切です。女性は月経もあり鉄分不足になりやすいため、日頃から鉄分の多い食事や、足りない分はサプリメントで補うようにしましょう。