食事やサプリメントに含まれる鉄には、肉や魚など動物性の食物に含まれる「ヘム鉄」と、野菜や穀物など植物性の食物に含まれる「非ヘム鉄」の二種類があります。 大きな違いは吸収率にあり、「ヘム鉄」では約30%、非ヘム鉄では約5%程度の吸収率となります。
どちらの鉄も吸収されるまでにイオン化され、その際、“活性酸素”、“フリーラジカル”が発生します。 活性酸素・フリーラジカルは老化などの原因になりますが、鉄分サプリでは不快感や痛みなどを引き起こすとされています。
一方、フェリチン鉄では、 エンドサイトーシスという特別な吸収機構で吸収されるため、吸収率は30%程度でありながら、活性酸素・フリーラジカルが発生しません。
※参考
San Martin CD, Garri C, Pizarro F, Walter T, Theil EC, Núñez MT. Caco-2 Intestinal Epithelial Cells Absorb Soybean Ferritin by μ2 (AP2)-Dependent Endocytosis. J Nutr. 2008; 138(4): 659–666.
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高後 裕, 大竹 孝明:鉄代謝の生体に及ぼす影響 外科と代謝・栄養 2015; 49(2) 59-65.
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清涼飲料水評価書:鉄 食品安全委員会 2017年